着付

“特別な日のお手伝をさせて頂きます”

着付けはもちろん、お着物にふさわしいヘアやメイクも。成人式や結婚式など晴れやかなシーンへのお出かけもおまかせください。人生のあらゆる節目の行事を演出すお手伝いをさせていただきます。
特別な日をご友人、ご家族でお祝いされる「人との絆、家族の絆」を私たちは大切にし、皆様に笑顔があふれ思い出としていつまでも残る、そんなお手伝いができることを幸せに思っております。

“人との繋がり”,​“家族の絆”を大切にする

成人式

結婚式・披露宴

卒業式

七五三

夏祭り

花火大会

着付料金

 
振袖
¥9,350 (税込)
 


 
訪問着
¥8,250 (税込)
 


 

¥7,150(税込)
 


 
七五三
¥2,200(税込)〜
 
 


 
ゆかた
¥3,300 (税込)

 *準備していただくもの
※電話予約後、お着物類は前もってお着付けに必要な物一式をお預かりさせて頂きます。恐れ入りますが、ご予約日の2日前までに下記の持ち物をそろえて当店までお持ち込みください。内容を確認し、足りない物がある場合には、こちらからご連絡させていただきます。 
※お着物の内容により持ち物が異なりますので事前にお電話にてご確認くだい。
※留袖の場合、扇子をお忘れにならないよう、お気をつけください。
※半襟をこちらでつけられるお客様は¥1,000いただきます。
※腰ひもがない場合は1本¥350でご用意してあります。
※上記でわからないものがありましたら、2日前までに当店にご確認ください。 
 
注意事項
※当日はセーターなどの被り物の洋服は避け、首まわりが大きく開く服や前開きのシャツなどを着用してきてください。
※着物の『しつけ糸』は、お持ちになる前に取っておくようお願いします。
※半襟が付いているか、確認してからお持ちください。
※メイクもご予約のお客様は、何もメイクをしない状態でお越しください。
※着物はご予約の前日迄に必ずお持ちください。予めて確認させて頂きます。

 
 

 

着物のおはなし


 
着物は長い歴史の中で受け継がれ育まれてきた世界に誇れる「日本の伝統文化」です。
洋服が一般化している現代でも依然として着物が愛され続けているのは「美しい、華やか」という理由だけではありません。
着物は日本の風習や文化にとけこみやすく四季のある日本の気候風土にも適しているからです。着物を「ファッション」としてとらえることもよいですが、歴史をたどり着物の移り変わりを学ぶ事で今までと違った着物が見えて来ます。
「着物」という言葉は国際語「kimono」 として世界に通用しています。
着物は明治時代に西洋の衣服「洋服」が移入して以降、区別する為にもそれまでの衣服を着物と呼ぶようになりました。
本来「着物」とは「着る物(衣服)」という意味で「着るもの」という言葉が詰まって「着物」になったといわれています。
その着物は平安時代に着用していた「小袖」が始まりといわれています。小袖をはじめとして古代の衣服についてまとめてみました。
※小袖とは袖幅がやや狭く袖丈の短い衣服です。
縄文時代(狩猟で入手したものを身にまとうだけの簡単なワンピース状衣服)
縄文時代といわれる原始時代の衣服は防寒や肉体の保護だけの目的で衣服が用いられていたようです。衣服に装飾的な意味合いはなく狩猟で手に入れた獣や魚の皮、羽毛、木の皮などを身にまとっていただけの簡単なものだったと推測されます。
そのうち農業や畑仕事をするようになり麻などの繊維が生まれ、それらを用いた織物が作られるようになりました。
弥生時代(織った布地を身にまとうワンピース状の衣服)
弥生時代は歴史上で有名な邪馬台国を治めた卑弥呼がいた時代で中国の歴史書「魏志倭人伝」の記述から女子は貫頭衣(かんとうい)、男子は袈裟衣(けさい)を身に着けていました。この形態の衣服は東南アジアの稲作民族などが現在も使用しています。
また、卑弥呼など身分の高い人物は絹を用いた衣服を着ていたようです。
弥生時代には居坐織(いざりばた)などの原始的な機織りや紫草や藍などから取った食物染料を使った染めも行われていたようです。
古墳時代(布を裁断し縫った着物に似た左前の上下の衣服)
古墳時代になると大和朝廷により大陸との交流も盛んになり中国など他国の影響があったようです。女子は中国の模倣と思われる「筒袖(つつそで)」の打ちあわせした上下に、スカートのようなもので韓国のチマチョゴリに似た衣裳(きぬも)を着て、男子は同じく筒袖の打ちあわせした上下にズボン状のものを足結(あゆい)といって膝辺りを紐で縛った絹褌(きぬばかま)を着用していたと言われています。
このような服装は中国西方の胡族と呼ばれる遊牧騎馬民族の服装が中国・朝鮮半島を経て伝えられたと考えられます。
また、この時代では男子、女子ともに打ち合わせは現在とは逆で「左前」であったようです。これらのことは埴輪(はにわ)からも知ることができます。
この時代には養蚕(ようさん)も盛んになったようです。
飛鳥・奈良時代(着物に似た右前の衣服)
飛鳥・奈良時代には遣隋使(けんずいし)や遣唐使(けんとうし)などにより多くの分野で中国の隆盛期のものが取り入れられました。
飛鳥時代には聖徳太子が官吏の位を冠位十二階と呼ばれる冠と服の色や形で区分して体系化し日本初の制服制度を制定。また、奈良時代には礼服(らいふく)、朝服(ちょうふく)、制服(せいふく)を位により服装を三分類する三公服が制定されました。
衣服では衿を立てたコート状のもので袍(ほう)形式といわれるものが支配者階級の服装(朝服)として男子は衣に袴、女子は衣に裙(も)というものを着ていたようです。
また褶(ひらみ)というものを裳や袴の上からつけていたようです。奈良時代には今までの左前の打ちあわせから現在の右前の打ち合わせに改められたようです。また、支配者階級が身に着ける衣服の素材は高級な絹織物が、庶民には麻が使われていました。
平安時代(衣服から服装、初期の小袖へ
平安時代には遣唐使が廃止され次第に日本独自の服装に変わっていきました。
染色や織物の技術発展により多様性のある衣服が誕生しました。
男子は朝服から束帯(そくたい)へ、女子は唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく)や女房装束(にょうぼうしょうぞく)と言われる晴装束(はれしょうぞく)を公家などが着用するのが一般的でした。
束帯、唐衣裳装束ともに袖部分は袖口の下を縫わない「大袖」を用い、これは現在の産着や長襦袢などに用いられる袖の形のひとつで、現在和服用語では広袖ともいわれます。特に女性の唐衣裳装束の下に着用した下着を白小袖とよんだようです。
また平安時代は京都の風土の影響や宮廷文化の発達により特徴のある装束があります。
鎌倉・室町時代(小袖のみの姿へ)
鎌倉・室町時代の衣服の中心は、武家男子の服装は衿がまっすぐに下がる直垂(ひたたれ)、女子は衣袴(きぬばかま)を用いました。武家階級勢力が増し政治の実権を握った時代だったこともあり、やがて戦闘などの目的に応じた実用的な服装へと変わってい来ました。 束の表着を一枚ずつ簡素化し、袴や裳は省略され下着ではない、小袖のみの衣服に変わっていき室町末期には現在の着物の原型が出来上がったといわれています。この頃から「身八つ口」脇の所に開きのある着物になったようです。
安土・桃山時代
戦乱の平定した桃山時代には華やかな美術工芸品などで知られる桃山文化が生まれました。この時代は繍箔(ぬいはく)、摺箔(すりはく)、絞りなど緻密(ちみつ)な細工のものが多く、染織技術が飛躍的に進歩したことが小袖からもうかがえ、この時代に「辻が花染(つじがはなぞめ)」が染められるようになりました。
衣服に関しては男子は前時代に生まれた肩衣袴(かたぎぬばかま)が主流で女子は打掛姿(うちかけすがた)、腰巻姿(こしまきすがた)、また庶民には名古屋帯(なごやおび)が流行したようです。
江戸時代(小袖の完成形、着物と帯の姿へ)
江戸幕府は徳川家康により開かれ約300年間続いた時代で、鎖国の厳しい封建社会でしたが、庶民階級が経済、社会面で勢力を発揮し町人文化が栄えた華やかな時代でもあります。身分によって着物の素材や色に制限がかけられ豪華な着物を着る商人がいる一方庶民は「四十八茶百鼠」と呼ばれる色目の着物しか着ることが出来ませんでした。
元禄期には元禄文様と呼ばれる明るい色調で金糸が多く用いられた華やかな小袖などが作られ日本の代表的な友禅染も開花しました。この頃には現在の着物とほとんど変わらない形の小袖が生まれ、小袖が完成した時代ともいわれています。
また、江戸時代後期には帯締め、帯揚げを用いた「お太鼓結び」をするようになりました。
明治時代(和装と洋装)
明治維新によって大きな変化があった時代です。開国によって他国の文化が伝わり生活様式、服装様式が急速な欧米化が進みました。
宮中の礼服は洋服となり、それによって上流社会の欧米化が進み和洋折衷の服装となっていきました。高価な洋服に手の届かない一般人は和服にブーツや和服の上にコートを羽織るようなファッションを楽しんでいたようです。
この頃の礼服として男子は黒羽二重五つ紋付羽織袴(くろはぶたえいつつもんつきはおりはかま)で女子は黒や色無地の縮緬五つ紋付裾模様下襲(ちりめんいつつもんつきすそもようしたがさね)に丸帯が用いられていました。
昭和・平成~現在
現在の日常生活では洋服が中心となっていて、着物を着る機会は少なくなっています。
一般的に着物は晴着という感覚が強く結婚式などの特別なセレモニーやお葬式などのフォーマルウェア、礼服として用いられる事がほとんどです。
日本には昔から伝わる、お正月、成人式、七五三などの着物にふさわしい伝統や文化が多くあります。
入学式、卒業式、同窓会、習い事、夏祭り、七夕、観劇、ショッピング、お茶やお花、踊り、着付けなどの習い事で着物を着る機会を積極的にみつけ着物を着てみませんか。
日本の民族衣装である着物は日本人の体型、顔立ちによく似合います。
洋装が一般的になった現代だからこそ和装の文化に触れる事を是非おすすめします。


 

着物の仕立て方には大きく分けて袷(あわせ)と単衣(ひとえ)の2種類があります。
袷とは生地を二枚縫い合わせた裏地のある着物。そして単衣は1枚の生地からなる着物です。
洋服にも冬服、夏服があるように着物にも暑い時期と寒い時期に適した使い分けがあるのです。故に、袷の着物は10月~5月頃まで。単衣は6月と9月に。7月8月の盛夏は薄物(単衣に仕立てた着物の中でも薄くて透け感のある着物)を着るのが一般的でした。
しかし、現在は戦後と比べると気温が格段にあがっており時節には関係なく単衣の着物を販売するニーズが増えました。そこで気をつけなければいけないのが生地の品質です。 生地が薄くて目方の少ないものは適しておりませんので注意しましょう。
現代ではフォーマルな行事(お宮参りや七五三、成人式や結婚式など)で着る機会のある着物ですが、ネットショップでの着物の低価格化により以前では高価で特別感のあった着物が身近なものになってきています。 その為、着物を着て街歩きやランチ会などを楽しむ人たちも増えてきています。 これから着物を着てみたいという方は着物の選び方から迷ってしまうかもしれません。
TPOに合った着物選びをする為にも着物の「格」について知っておきましょう。
着物の格は大きく3つに分けられ「礼装」「準礼装」「外出着」となります。
【それぞれの特徴や代表的な着物】
礼装
最も格式の高い着物で、第一礼装とも呼ばれます。
結婚式で花嫁だけが着る事の出来る白無垢、色打掛。
冠婚葬祭に出席する際、着用する黒留袖、色留袖、振袖、喪服が礼装にあたります。
黒留袖は最も格式が高く既婚女性が着用する事の出来る第一礼装。
色留袖は黒留袖が既婚者用であったのに対して、未婚女性も着る事が出来ます。
振袖は未婚女性の第一礼装であり成人式や卒業式に着用される着物です。
喪服は葬儀や告別式の際、喪主や故人の親族が着用する第一礼装です。
準礼装
訪問着や付け下げ。礼装に次ぐ格の高い着物で入学式や卒業式など幅広くフォーマルな場での着用となります。訪問着の特徴は縫い目で柄が切れないよう一枚のキャンバスのように染められているのが特徴です。付け下げは訪問着より控えめな柄付けがされており帯や小物次第で柔軟に格を変えられます。
外出着
普段着、街着として楽しめる着物で付け下げ、小紋、紬があります。
小紋は同じ柄が繰り返すパターンの着物で江戸小紋・京小紋・友禅小紋・更紗小紋など多種多様ですが、なかでも有名なのが「江戸小紋」。
江戸小紋の由来は江戸時代の大名が正装時に身に着けていた着物が発祥とされています。当時の大名達は着物の柄の豪華さを競っていたわけですが、奢侈(贅沢)禁止令で必要以上に豪華に見せるのを抑圧されていたので、遠目からは一見無地のように見える精緻な柄の装飾になっていったようです。
江戸小紋は以下の3つの柄が有名で江戸小紋3役と呼ばれています。
:鮫肌のような細かいデザイン。遠目から見ると光沢がかったように見えるのが特徴。
行儀:丸型の”点”が斜めに並べられた柄模様で、行儀よく斜めにお辞儀をした形が由来と言われています。
角通し:小さな正方形が縦横に連続して配置されている。角通しには柄を縦横にまっすぐに描いていることから筋を通すという意味を持つ。
小紋の着物はお稽古事や観劇、食事会などが適しています。
紬は紬糸を平織りにした絹織物で作られた着物の事で丈夫で軽く普段着や外出着に適しています。
このようにコーディネイトに関して難しそうな着物のしきたりはありますが、昨今は洋服と同じ感覚でおかしくなければ好きなものを組み合わせて、それでOKとなってきております。
留袖には白の帯締めと帯揚げを使用する、晴れ着におしゃれものの帯を使用してはいけないなど細かいことは多少あります。


 


帯は大きく分けて2種類にわかれます。幅もあって長さもある袋帯と幅は広めで短い名古屋帯です。
結婚式や披露宴などに着用する留袖、訪問着、振袖には「金糸・銀糸の入った礼装用袋帯」を合わせるのが一般的です。袋帯は長さがあるので喜びが重なって続きますように二重太鼓を結んだり、華やかな装いにする為にかざり結びをします。
一方、名古屋帯は軽くて締めやすいためお茶会などのカジュアルな場面での一重太鼓結びに適しています。
長襦袢
長襦袢は肌襦袢と着物の間に着る下着のようなものをさします。 着物を汗などの汚れから守る役割と防寒用としての役割もあります。
長襦袢は着物の衿や袖口から生地が見えるため、着物を楽しむためのアイテムのひとつです。
帯揚げ
帯揚げは帯の上辺を飾る布で帯枕を包んでいます。 帯の上からちらりと見える事で華やかで引き締まる印象になります。
帯締め
帯締めは帯の中央にぐるっとまかれた紐で帯を締めて固定する役割があり、「丸組み」「平組み」「丸ぐけ」などの種類があります。
着物のアクセントとなる帯締めは豊富な種類や色でおしゃれを演出できます。
草履
草履は、フォーマル用とカジュアル用のものがあり、着ていく場面によって分けます。フォーマル用は金糸や銀糸が用いられた帯地もの、革やエナメルのものがあり、かかとが高ければ高いほどフォーマルとされており、礼装用着物だと裾が長い事もありかかとは5~6 cm、普段着用のカジュアルな着物に合わせる場合は3~5cmくらいの方が良いとされています。 草履のサイズはかかとが少しはみ出るくらいのがきれいな着姿です。 又、雨の日は足袋が濡れないように草履カバーを着用します。
バック
格式の高い着物にはそれにあったバッグを選びましょう。草履とバッグはセットになった物が多く、結婚式などのセレモニーで着る留袖にはゴールドやシルバーのものを合わせるとコントラストが効いて着物姿がしまります。着物や帯の色とバッグの色調を合わせると、全身のコーディネートに統一感がでます。振袖や訪問着には、エレガントなデザインがほどこされた織物のバッグなどもおすすめです。バッグを選ぶときは、着物の格だけでなくデザインや色との相性を考えるようにするとよいでしょう。
足袋
足袋は着物姿で靴下の役割をします。サイズはSMLや5㎜単位で作られています。自分の靴のサイズより0.5㎜小さめにしてぴったりにして履くのがよいでしょう。履きなれない足袋で足が痛くなるのが心配な人はストレッチ素材の足袋もあるので試してみるのもいいでしょう。
スリップ・肌襦袢
どちらも着物の下に着る肌着です。スリップタイプは上下の分かれていないタイプで肌襦袢は上下がわかれているタイプです。上の部分を肌着、下の部分を裾除けと言います。 肌着なので汗を吸収し、着物が直接汚れるのを防ぐ事ができます。裾除けは着物の裾の足さばきをよくし、冬場は肌着を着る事で保温性がよくなります。
帯枕
お太鼓結びをする時など帯の形をよくする為に帯の中にいれるものです。大きさや種類が色々あり、着る人の年齢やどのようなお太鼓を作るかによって選び方が変わります。
帯板
帯板とは帯を締める際に帯の前部分に差し込み、帯にシワが寄らないようにするための和装小物です。帯板の長さは色々あり長めの帯板は花嫁衣裳やフォーマルの着物に向いており、短めの帯板はカジュアルの着物に向いているとされていますが、長すぎたりすると脇にあたり痛くなったりする事もあるので体型に合わせて選ぶ事も重要です。
コーリンベルト
着付け時に着物や長襦袢を止める働きをするもので着崩れ防止に役立ちます。着物初心者さんには是非おすすめの着付けアイテムです。
伊達締め
胸元が崩れることを防ぐ役割があります。着物と長襦袢の衿合わせがズレないように止めておくために使われ着崩れ防止に役立ちます。薄手で柔らかい物が適しているでしょう。
腰紐3本
襦袢や着物の丈を定めて、それを維持するために使用します。しめやすくゆるみにくいものがおすすめです。
きものハンガー
伸縮式と折りたたみ式の2種類があります。着物を着る前のシワ取りと、着た後の陰干しに必要です。きちんとしたお手入れで着物を長く着る事ができます。
保存袋
丈夫で破れにくい不織布でできていて、繰り返し使えます。着物タンスを持っていない方には保存袋で収納するのがおすすめです。

 


 
着物は長い歴史の中で受け継がれ育まれてきた世界に誇れる「日本の伝統文化」です。
洋服が一般化している現代でも依然として着物が愛され続けているのは「美しい、華やか」という理由だけではありません。
着物は日本の風習や文化にとけこみやすく四季のある日本の気候風土にも適しているからです。着物を「ファッション」としてとらえることもよいですが、歴史をたどり着物の移り変わりを学ぶ事で今までと違った着物が見えて来ます。
「着物」という言葉は国際語「kimono」 として世界に通用しています。
着物は明治時代に西洋の衣服「洋服」が移入して以降、区別する為にもそれまでの衣服を着物と呼ぶようになりました。
本来「着物」とは「着る物(衣服)」という意味で「着るもの」という言葉が詰まって「着物」になったといわれています。
その着物は平安時代に着用していた「小袖」が始まりといわれています。小袖をはじめとして古代の衣服についてまとめてみました。
※小袖とは袖幅がやや狭く袖丈の短い衣服です。
縄文時代(狩猟で入手したものを身にまとうだけの簡単なワンピース状衣服)
縄文時代といわれる原始時代の衣服は防寒や肉体の保護だけの目的で衣服が用いられていたようです。衣服に装飾的な意味合いはなく狩猟で手に入れた獣や魚の皮、羽毛、木の皮などを身にまとっていただけの簡単なものだったと推測されます。
そのうち農業や畑仕事をするようになり麻などの繊維が生まれ、それらを用いた織物が作られるようになりました。
弥生時代(織った布地を身にまとうワンピース状の衣服)
弥生時代は歴史上で有名な邪馬台国を治めた卑弥呼がいた時代で中国の歴史書「魏志倭人伝」の記述から女子は貫頭衣(かんとうい)、男子は袈裟衣(けさい)を身に着けていました。この形態の衣服は東南アジアの稲作民族などが現在も使用しています。
また、卑弥呼など身分の高い人物は絹を用いた衣服を着ていたようです。
弥生時代には居坐織(いざりばた)などの原始的な機織りや紫草や藍などから取った食物染料を使った染めも行われていたようです。
古墳時代(布を裁断し縫った着物に似た左前の上下の衣服)
古墳時代になると大和朝廷により大陸との交流も盛んになり中国など他国の影響があったようです。女子は中国の模倣と思われる「筒袖(つつそで)」の打ちあわせした上下に、スカートのようなもので韓国のチマチョゴリに似た衣裳(きぬも)を着て、男子は同じく筒袖の打ちあわせした上下にズボン状のものを足結(あゆい)といって膝辺りを紐で縛った絹褌(きぬばかま)を着用していたと言われています。
このような服装は中国西方の胡族と呼ばれる遊牧騎馬民族の服装が中国・朝鮮半島を経て伝えられたと考えられます。
また、この時代では男子、女子ともに打ち合わせは現在とは逆で「左前」であったようです。これらのことは埴輪(はにわ)からも知ることができます。
この時代には養蚕(ようさん)も盛んになったようです。
飛鳥・奈良時代(着物に似た右前の衣服)
飛鳥・奈良時代には遣隋使(けんずいし)や遣唐使(けんとうし)などにより多くの分野で中国の隆盛期のものが取り入れられました。
飛鳥時代には聖徳太子が官吏の位を冠位十二階と呼ばれる冠と服の色や形で区分して体系化し日本初の制服制度を制定。また、奈良時代には礼服(らいふく)、朝服(ちょうふく)、制服(せいふく)を位により服装を三分類する三公服が制定されました。
衣服では衿を立てたコート状のもので袍(ほう)形式といわれるものが支配者階級の服装(朝服)として男子は衣に袴、女子は衣に裙(も)というものを着ていたようです。
また褶(ひらみ)というものを裳や袴の上からつけていたようです。奈良時代には今までの左前の打ちあわせから現在の右前の打ち合わせに改められたようです。また、支配者階級が身に着ける衣服の素材は高級な絹織物が、庶民には麻が使われていました。
平安時代(衣服から服装、初期の小袖へ
平安時代には遣唐使が廃止され次第に日本独自の服装に変わっていきました。
染色や織物の技術発展により多様性のある衣服が誕生しました。
男子は朝服から束帯(そくたい)へ、女子は唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく)や女房装束(にょうぼうしょうぞく)と言われる晴装束(はれしょうぞく)を公家などが着用するのが一般的でした。
束帯、唐衣裳装束ともに袖部分は袖口の下を縫わない「大袖」を用い、これは現在の産着や長襦袢などに用いられる袖の形のひとつで、現在和服用語では広袖ともいわれます。特に女性の唐衣裳装束の下に着用した下着を白小袖とよんだようです。
また平安時代は京都の風土の影響や宮廷文化の発達により特徴のある装束があります。
鎌倉・室町時代(小袖のみの姿へ)
鎌倉・室町時代の衣服の中心は、武家男子の服装は衿がまっすぐに下がる直垂(ひたたれ)、女子は衣袴(きぬばかま)を用いました。武家階級勢力が増し政治の実権を握った時代だったこともあり、やがて戦闘などの目的に応じた実用的な服装へと変わってい来ました。 束の表着を一枚ずつ簡素化し、袴や裳は省略され下着ではない、小袖のみの衣服に変わっていき室町末期には現在の着物の原型が出来上がったといわれています。この頃から「身八つ口」脇の所に開きのある着物になったようです。
安土・桃山時代
戦乱の平定した桃山時代には華やかな美術工芸品などで知られる桃山文化が生まれました。この時代は繍箔(ぬいはく)、摺箔(すりはく)、絞りなど緻密(ちみつ)な細工のものが多く、染織技術が飛躍的に進歩したことが小袖からもうかがえ、この時代に「辻が花染(つじがはなぞめ)」が染められるようになりました。
衣服に関しては男子は前時代に生まれた肩衣袴(かたぎぬばかま)が主流で女子は打掛姿(うちかけすがた)、腰巻姿(こしまきすがた)、また庶民には名古屋帯(なごやおび)が流行したようです。
江戸時代(小袖の完成形、着物と帯の姿へ)
江戸幕府は徳川家康により開かれ約300年間続いた時代で、鎖国の厳しい封建社会でしたが、庶民階級が経済、社会面で勢力を発揮し町人文化が栄えた華やかな時代でもあります。身分によって着物の素材や色に制限がかけられ豪華な着物を着る商人がいる一方庶民は「四十八茶百鼠」と呼ばれる色目の着物しか着ることが出来ませんでした。
元禄期には元禄文様と呼ばれる明るい色調で金糸が多く用いられた華やかな小袖などが作られ日本の代表的な友禅染も開花しました。この頃には現在の着物とほとんど変わらない形の小袖が生まれ、小袖が完成した時代ともいわれています。
また、江戸時代後期には帯締め、帯揚げを用いた「お太鼓結び」をするようになりました。
明治時代(和装と洋装)
明治維新によって大きな変化があった時代です。開国によって他国の文化が伝わり生活様式、服装様式が急速な欧米化が進みました。
宮中の礼服は洋服となり、それによって上流社会の欧米化が進み和洋折衷の服装となっていきました。高価な洋服に手の届かない一般人は和服にブーツや和服の上にコートを羽織るようなファッションを楽しんでいたようです。
この頃の礼服として男子は黒羽二重五つ紋付羽織袴(くろはぶたえいつつもんつきはおりはかま)で女子は黒や色無地の縮緬五つ紋付裾模様下襲(ちりめんいつつもんつきすそもようしたがさね)に丸帯が用いられていました。
昭和・平成~現在
現在の日常生活では洋服が中心となっていて、着物を着る機会は少なくなっています。
一般的に着物は晴着という感覚が強く結婚式などの特別なセレモニーやお葬式などのフォーマルウェア、礼服として用いられる事がほとんどです。
日本には昔から伝わる、お正月、成人式、七五三などの着物にふさわしい伝統や文化が多くあります。
入学式、卒業式、同窓会、習い事、夏祭り、七夕、観劇、ショッピング、お茶やお花、踊り、着付けなどの習い事で着物を着る機会を積極的にみつけ着物を着てみませんか。
日本の民族衣装である着物は日本人の体型、顔立ちによく似合います。
洋装が一般的になった現代だからこそ和装の文化に触れる事を是非おすすめします。


 

着物の仕立て方には大きく分けて袷(あわせ)と単衣(ひとえ)の2種類があります。
袷とは生地を二枚縫い合わせた裏地のある着物。そして単衣は1枚の生地からなる着物です。
洋服にも冬服、夏服があるように着物にも暑い時期と寒い時期に適した使い分けがあるのです。故に、袷の着物は10月~5月頃まで。単衣は6月と9月に。7月8月の盛夏は薄物(単衣に仕立てた着物の中でも薄くて透け感のある着物)を着るのが一般的でした。
しかし、現在は戦後と比べると気温が格段にあがっており時節には関係なく単衣の着物を販売するニーズが増えました。そこで気をつけなければいけないのが生地の品質です。 生地が薄くて目方の少ないものは適しておりませんので注意しましょう。
現代ではフォーマルな行事(お宮参りや七五三、成人式や結婚式など)で着る機会のある着物ですが、ネットショップでの着物の低価格化により以前では高価で特別感のあった着物が身近なものになってきています。 その為、着物を着て街歩きやランチ会などを楽しむ人たちも増えてきています。 これから着物を着てみたいという方は着物の選び方から迷ってしまうかもしれません。
TPOに合った着物選びをする為にも着物の「格」について知っておきましょう。
着物の格は大きく3つに分けられ「礼装」「準礼装」「外出着」となります。
【それぞれの特徴や代表的な着物】
礼装
最も格式の高い着物で、第一礼装とも呼ばれます。
結婚式で花嫁だけが着る事の出来る白無垢、色打掛。
冠婚葬祭に出席する際、着用する黒留袖、色留袖、振袖、喪服が礼装にあたります。
黒留袖は最も格式が高く既婚女性が着用する事の出来る第一礼装。
色留袖は黒留袖が既婚者用であったのに対して、未婚女性も着る事が出来ます。
振袖は未婚女性の第一礼装であり成人式や卒業式に着用される着物です。
喪服は葬儀や告別式の際、喪主や故人の親族が着用する第一礼装です。
準礼装
訪問着や付け下げ。礼装に次ぐ格の高い着物で入学式や卒業式など幅広くフォーマルな場での着用となります。訪問着の特徴は縫い目で柄が切れないよう一枚のキャンバスのように染められているのが特徴です。付け下げは訪問着より控えめな柄付けがされており帯や小物次第で柔軟に格を変えられます。
外出着
普段着、街着として楽しめる着物で付け下げ、小紋、紬があります。
小紋は同じ柄が繰り返すパターンの着物で江戸小紋・京小紋・友禅小紋・更紗小紋など多種多様ですが、なかでも有名なのが「江戸小紋」。
江戸小紋の由来は江戸時代の大名が正装時に身に着けていた着物が発祥とされています。当時の大名達は着物の柄の豪華さを競っていたわけですが、奢侈(贅沢)禁止令で必要以上に豪華に見せるのを抑圧されていたので、遠目からは一見無地のように見える精緻な柄の装飾になっていったようです。
江戸小紋は以下の3つの柄が有名で江戸小紋3役と呼ばれています。
:鮫肌のような細かいデザイン。遠目から見ると光沢がかったように見えるのが特徴。
行儀:丸型の”点”が斜めに並べられた柄模様で、行儀よく斜めにお辞儀をした形が由来と言われています。
角通し:小さな正方形が縦横に連続して配置されている。角通しには柄を縦横にまっすぐに描いていることから筋を通すという意味を持つ。
小紋の着物はお稽古事や観劇、食事会などが適しています。
紬は紬糸を平織りにした絹織物で作られた着物の事で丈夫で軽く普段着や外出着に適しています。
このようにコーディネイトに関して難しそうな着物のしきたりはありますが、昨今は洋服と同じ感覚でおかしくなければ好きなものを組み合わせて、それでOKとなってきております。
留袖には白の帯締めと帯揚げを使用する、晴れ着におしゃれものの帯を使用してはいけないなど細かいことは多少あります。


 


帯は大きく分けて2種類にわかれます。幅もあって長さもある袋帯と幅は広めで短い名古屋帯です。
結婚式や披露宴などに着用する留袖、訪問着、振袖には「金糸・銀糸の入った礼装用袋帯」を合わせるのが一般的です。袋帯は長さがあるので喜びが重なって続きますように二重太鼓を結んだり、華やかな装いにする為にかざり結びをします。
一方、名古屋帯は軽くて締めやすいためお茶会などのカジュアルな場面での一重太鼓結びに適しています。
長襦袢
長襦袢は肌襦袢と着物の間に着る下着のようなものをさします。 着物を汗などの汚れから守る役割と防寒用としての役割もあります。
長襦袢は着物の衿や袖口から生地が見えるため、着物を楽しむためのアイテムのひとつです。
帯揚げ
帯揚げは帯の上辺を飾る布で帯枕を包んでいます。 帯の上からちらりと見える事で華やかで引き締まる印象になります。
帯締め
帯締めは帯の中央にぐるっとまかれた紐で帯を締めて固定する役割があり、「丸組み」「平組み」「丸ぐけ」などの種類があります。
着物のアクセントとなる帯締めは豊富な種類や色でおしゃれを演出できます。
草履
草履は、フォーマル用とカジュアル用のものがあり、着ていく場面によって分けます。フォーマル用は金糸や銀糸が用いられた帯地もの、革やエナメルのものがあり、かかとが高ければ高いほどフォーマルとされており、礼装用着物だと裾が長い事もありかかとは5~6 cm、普段着用のカジュアルな着物に合わせる場合は3~5cmくらいの方が良いとされています。 草履のサイズはかかとが少しはみ出るくらいのがきれいな着姿です。 又、雨の日は足袋が濡れないように草履カバーを着用します。
バック
格式の高い着物にはそれにあったバッグを選びましょう。草履とバッグはセットになった物が多く、結婚式などのセレモニーで着る留袖にはゴールドやシルバーのものを合わせるとコントラストが効いて着物姿がしまります。着物や帯の色とバッグの色調を合わせると、全身のコーディネートに統一感がでます。振袖や訪問着には、エレガントなデザインがほどこされた織物のバッグなどもおすすめです。バッグを選ぶときは、着物の格だけでなくデザインや色との相性を考えるようにするとよいでしょう。
足袋
足袋は着物姿で靴下の役割をします。サイズはSMLや5㎜単位で作られています。自分の靴のサイズより0.5㎜小さめにしてぴったりにして履くのがよいでしょう。履きなれない足袋で足が痛くなるのが心配な人はストレッチ素材の足袋もあるので試してみるのもいいでしょう。
スリップ・肌襦袢
どちらも着物の下に着る肌着です。スリップタイプは上下の分かれていないタイプで肌襦袢は上下がわかれているタイプです。上の部分を肌着、下の部分を裾除けと言います。 肌着なので汗を吸収し、着物が直接汚れるのを防ぐ事ができます。裾除けは着物の裾の足さばきをよくし、冬場は肌着を着る事で保温性がよくなります。
帯枕
お太鼓結びをする時など帯の形をよくする為に帯の中にいれるものです。大きさや種類が色々あり、着る人の年齢やどのようなお太鼓を作るかによって選び方が変わります。
帯板
帯板とは帯を締める際に帯の前部分に差し込み、帯にシワが寄らないようにするための和装小物です。帯板の長さは色々あり長めの帯板は花嫁衣裳やフォーマルの着物に向いており、短めの帯板はカジュアルの着物に向いているとされていますが、長すぎたりすると脇にあたり痛くなったりする事もあるので体型に合わせて選ぶ事も重要です。
コーリンベルト
着付け時に着物や長襦袢を止める働きをするもので着崩れ防止に役立ちます。着物初心者さんには是非おすすめの着付けアイテムです。
伊達締め
胸元が崩れることを防ぐ役割があります。着物と長襦袢の衿合わせがズレないように止めておくために使われ着崩れ防止に役立ちます。薄手で柔らかい物が適しているでしょう。
腰紐3本
襦袢や着物の丈を定めて、それを維持するために使用します。しめやすくゆるみにくいものがおすすめです。
きものハンガー
伸縮式と折りたたみ式の2種類があります。着物を着る前のシワ取りと、着た後の陰干しに必要です。きちんとしたお手入れで着物を長く着る事ができます。
保存袋
丈夫で破れにくい不織布でできていて、繰り返し使えます。着物タンスを持っていない方には保存袋で収納するのがおすすめです。

 

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